空手のこと(3)


(D)組手のこと。「初期」「第二期」「第三期」として

 組手は通常三本組手から始まる。目的は、突手、受手、強靭にして柔軟な足腰筋肉骨などの鍛錬、出足と、そのスピ−ド、タイミング、気力、視点と視野、闘争精神の養成、相手の動きの予知と読み切り、極まり、感覚と感、はら、スピ−ド(左記三点は伊藤俊太郎さんが常に強調しておられた)即ち組手の初期稽古であるが、と同時にこれ等が、組手の第二期以降最終期まで継続する稽古の目的として繋がる目的、課題となる。尚、形には更に、感性が重要となる。

 第二期として通常一本組手を稽古する。相手の攻撃を受けると同時に自分の決め手を取れる体制、即ち「後の先」「先の先」の地歩を獲得し、一本でも連続でも攻撃して決め手をとる。 一本組手は決め手を取るという組手の最重要課題の基本を確実に学び研究して稽古することを主目的とする。
 
 一本組手は極手を取る基本形である故、極めて重要である。最近、信濃町の木曜会などでよく行われるようになり大変結構なことと思っている。

 但し、一本組手に欠けるものは、本来が約束組手である故に自由組手と比べ相手の攻撃が分かること、従って受け易いこと、攻撃側の連続攻撃がないこと、攻撃も殆ど突きと決まっていること等により受け易いのみならず、自由組手、試合組手では最も難度の高い「後の先」「先の先」の地歩の獲得と、極手の取り合いが比較的容易である。従ってル−ル以外に約束のない試合組手において最も難度の高い、自分が極手を取るための有利な地歩を得る高難度の稽古が、之ら一本組手に欠ける点を承知する事が必要であり、またそれを知るによって一本組手の稽古の質もより高まる。

 組手の最終段階が自由組手であり、多くの不備を自らに気づかせる要素も多く、この稽古を決して欠かすことは出来ない。

 結論的に上記、三本、一本の組手順序を経て行う試合形式の組手が、組手として最も重要且つ技術的難度の高いものであることを認識しなくてはならない。

 終わりに、不本意ながら形についての記述が大変少くなかったが、形は基本の諸動作を可能な限り現実的に真剣に敵を想定して稽古するものである。それ故例えば日本空手協会の植木師範は、形を稽古しないと組手が本当に強くならないと言う意見も持っておられる。事実、形についての考え方は大変に幅の広いものがある。ここで書きつらねてみても単に広がった意見の羅列となってしまうとも考え一応筆を置かせて頂くこととする。
    
以上